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アスベストが死因と思われる死者の数
アスベストによって引き起こされる病気は様々ですが、アスベストによって引き起こされる病気が原因で死に至る人が増えています。
目次
1.中皮腫と肺がん、アスベスト肺が死因の場合
2.卵巣がんや咽頭がんとの因果関係
3.死者数の増加
4.まとめ
1.中皮腫と肺がん、アスベスト肺が死因の場合
アスベスト肺(アスベストの粉じんを吸入することによって起こるじん肺)については、仕事でアスベストを使用していた人以外にも、日常的にアスベストにさらされた人たちが死亡しています。
(アスベスト肺について詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
中皮腫(中腫の中から発生したがん(悪性腫瘍))についても、仕事でアスベストを使用していた人が中皮腫になり、死亡しています。
(中皮腫について詳しくはこちらの記事をご覧ください)
この二つの死因についてはアスベストが直接的な原因と言ってもよいでしょう。
肺がんについては、アスベスト以外にも喫煙などが原因で起こる病気ですが、アスベストとの相乗効果も認められています。もちろん、アスベストが原因で発症する病気でもあります。
(肺がんについて詳しくはこちらの記事をご覧ください)
2.卵巣がんや咽頭がんとの因果関係
中皮腫、肺がん、アスベストの3つの病気についてはアスベストによる健康被害として多く知れ渡っています。しかし、アスベストと卵巣がん・咽頭がんについての因果関係については知らない方も多いのではないでしょうか。実際、日本では労災保険や石綿健康被害救済制度の対象疾病として明記されていませんが、国際がん研究機関(IARC)によって仕事でアスベストを使用していた人たちと卵巣がん・咽頭がんの発症に関連性があることが認められています。
3.死者数の増加
まず、日本のアスベスト疾患による死亡者の数はアメリカと中国に次いで世界3位です。これは、日本よりもさらにアスベスト被害の状況が見えないまま放置されている国が多数存在するためでもありますが、死者数、そして死亡率が年々増加していることは事実です。
とりわけ中皮腫による死者数については、統計がとられるようになった1995年以降ほぼ増加しています。また、2017年の1555人が最多死者数でしたが2020年には1605人となり3年ぶりに最多を更新しています。都道府県別は多い順に東京都156人、大阪府143人、神奈川県107人、兵庫県103人、北海道101人です。
アスベスト関連疾患死者数世界第4位・死亡率第3位のイギリスと日本を比較してみましょう。
イギリスのアスベスト輸入量は最盛期が1960年~1974年までの15年間で、1962年を除いて15万トン以上に上り、アスベストの使用禁止は1999年です。
日本のアスベスト輸入のピークは1974年の約35万2000トンで、15万トン以上輸入されていたのは1967年~1997年までの30年間におよびます。そのうち20万トン以上輸入していたのは1968年~1994年までの26年間です。アスベストの原則禁止が2006年で全面禁止が2012年です。
今現在、中皮腫の死亡者数は累計が2万8213人でイギリスの半数以下ではありますが、アスベストの使用量の増加や使用禁止が15~20年遅いため、被害ピークもそれだけ遅くなると推測されています。また最盛期がイギリスに比べて2倍以上の期間、その上輸入量もかなり上回っています。日本の方がアスベストを吸った人が多く、量や期間も深刻となれば今後日本の死者は増えていくと推測されます。
4.まとめ
アスベストによるがんなどの健康被害はまだまだこれから顕著になっていくことでしょう。しかし、卵巣がんや咽頭がんが労災保険や石綿健康被害救済制度の疾病対象と明記されていないこと、また改修や解体時の規制、輸入品のチェックなど法改正は随時行われているものの十分な改善といえないでしょう。十分な補償・救済など法改正をしなければ今後さらに被害が長期化していく可能性があります。
https://joshrc.net/archives/7116
アスベストにさらされる建設業務に従事し、健康被害に遭われた労働者の方やそのご遺族の救済のため、社会保険労務士法人きんかでは積極的に相談に応じておりますのでお気軽にご連絡ください。お問い合わせはこちら