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2022.01.13

コラム

アスベストによる健康被害 中皮腫

アスベストにさらされることにより引き起こされる病気があります。
今回は中皮腫について詳しくご説明致します。

目次
1.中皮とは
2.中皮腫とは
3.自覚症状、発症までの期間
4.診断
5.治療
6.中皮腫による死亡者数、労災認定数
7.まとめ

1.中皮とは

内臓はラップのような薄い膜で覆われています。この膜の表面を覆っているのが中皮と呼ばれる箇所です。肺、心臓、胃腸、肝臓など腹部の臓器には胸膜、心膜、腹膜と呼ばれる細胞層があり、それを指しています。

2.中皮腫とは

中腫の中から発生したがん(悪性腫瘍)を中皮腫といいます。中皮腫の中でも約8割が胸膜中皮腫とされています。わずかではありますが、アスベストが原因で腹膜や心膜にも中皮腫は発生します。1か所で大きくなっていくタイプ(限局性)と膜全体に広がっていくタイプ(びまん性)があり、多くはびまん性で臓器を包み込むように腫瘍が広がる性質があります。がん細胞の組織型の種類としては、「上皮型」「肉腫型」「二相型」などがあり、これらのうち、頻度が高く病気の経過(予後)が良いのが「上皮型」で、全体の約60%を占めています。また、中皮腫の発生はアスベストの種類によって差があると言われていてクロシドライト、アモサイト、クリソタイルの順で危険性が高いと言われています。

3.自覚症状、発症までの期間

初期症状は特になく、検診などで胸水として指摘され明らかになることが多いです。進行すると胸の痛み、咳、大量の胸水による呼吸困難や胸部圧迫感が起こります。また、原因不明の発熱や体重減少がみられるときもありますが、これらは中皮腫における特徴的な症状とはいえないため早期発見、診断が難しい病気です。発症までの期間はアスベストにさらされてから20年から40年後に発症することが多いと言われています。また肺がんとは異なり、中皮腫は喫煙との因果関係はないと言われています。

4.診断

・これまでの職業歴や住居歴からアスベストにさらされていた可能性があるか
・対象箇所の画像検査
・胸水がある場合、胸水の中にがん細胞があるかどうかを調べる
・疑わしい組織の一部を採取してがんの有無や組織型を調べる
アスベスト以外での中皮腫の報告例は数例とかなり少数のため原因のほとんどはアスベストだと言われています。

5.治療

主に外科的療法(手術)、化学療法(抗癌剤)、放射線療法、緩和ケアを組み合わせた治療が行われます。がん細胞の組織型によって、病気の進行スピードや予後が異なるため、がんの組織型も考慮した上で治療方針が立てられます。中皮腫がどの範囲まで広がっているのかで病期(ステージ)分類がⅠからⅣまで分類されています。

6.中皮腫による死亡者数、労災認定数

厚生労働省の人口動態統計に基づく中皮腫による死亡数の年次推移(1995年から2019年)によると、2019年の中皮腫による死亡総数は1,466人であり、1995年の死亡総数500人と比較して3倍強と年々増加しています。2019年度の労災請求件数は、677件、労災認定件数は662件、そのうち業務上認定されたのが641件となっています。

7.まとめ

今回はアスベストによる健康被害の中で中皮腫についてご説明しました。中皮腫発生の危険はアスベストの累積ばく露量が多いほど高くなります。しかし、アスベスト肺、肺がんよりも低濃度のばく露でも危険性はあり、職業的なばく露だけでなく、家庭内ばく露、近隣ばく露による発症例もあります。アスベスト肺や肺がんと同様に発症するまでの期間が長く、明らかな初期症状はないため定期的な健康診断が早期発見に繋がります。
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