お知らせ・コラム
じん肺管理区分とは
アスベストに関連して引き起こされる病気や健康診断、健康管理手帳などの申請の際、対象者のじん肺管理区分というものが度々でてきます。今回はじん肺管理区分についてご説明します。
目次
1.じん肺とは
2.じん肺管理区分とは
3.じん肺健康診断
4.事業主のとるべき措置
5.まとめ
1.じん肺とは
小さな土埃や金属の粒などの無機物または鉱物性の粉じん(アスベストなど)が発生する環境下で仕事をしている方が、その粉じんを長期間にわたり大量に吸い込むことで、肺の組織が線維化し硬くなって弾力性を失ってしまう病気をじん肺と言います。肺の組織が壊れると呼吸困難を引き起こします。また、一度じん肺にかかると、粉じん作業をやめた後も病気は進行します。さらに根本的な治療法はなく症状を緩和する治療となります。
アスベストに関連する病気はこちら⇒アスベスト肺、原発性肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水
2.じん肺管理区分とは
じん肺管理区分とは粉じん作業従事者の健康管理のため、じん肺健康管理を行い診断結果に基づき区分分けすることをいいます。じん肺の管理区分は、管理1、管理2、管理3イ、管理3ロ、管理4の5段階に分かれています。管理1はじん肺の所見がないことですが、管理2以上はじん肺の所見があり、数字が大きくなるに従いじん肺が進行していることになります。また管理2以上のじん肺の管理区分は、かかりつけの病院等の医師が判断するのではなく、X線写真とじん肺健康診断結果証明書等を住所地の都道府県労働局長に提出し、地方じん肺審査医による診断、審査があり管理区分が決定され、事業主に通知されます。
【じん肺管理区分】
管理1:じん肺の所見がないと認められるもの
管理2:X線写真像が第1型(粒上の影、不整形陰影が少数あること)でじん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理3イ:X線写真像が第2型(粒上の影、不整形陰影が多数あること)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理3ロ:X線写真像が第3型(粒上の影、不整形陰影が極めて多数あること)または第4型(大陰影の大きさがー側の肺野の3分の1以下のものに限る)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理4:(1)エックス線写真の像が第4型(大陰影の大きさがー側の肺野の3分の1を超えるものに限る)と認められるもの。(2)エックス線写真の像が第1型・第2型・第3型または第4型(大陰影の大きさがー側の肺野の3分の1を超えるものに限る)で、じん肺による著しい肺機能の傷害があると認められるもの。
3.じん肺健康診断
事業主は、常時粉じん作業に従事する労働者に対して、じん肺健康診断を実施しなければなりません。定期に行われるじん肺健康診断は、じん肺の所見がない場合は3年に1回、じん肺の所見がある場合は1年に1回の頻度となっています。アスベスト作業従事者に対する健康診断についてはこちら
4.事業主のとるべき措置
労働者のじん肺管理区分の決定通知を受けた事業主は、じん肺管理区分を労働者に通知しなければなりません。また上記に記載した管理区分の管理2、管理3イに該当する労働者については就業場所を変更したり、粉じん作業に従事する時間を短縮するなど粉じんにさらされる度合いを減らすように努力しなければなりません。さらに、都道府県労働局長は、管理3イと決定された場合は、事業主に対して、常時粉じん作業に従事する労働者を、粉じん作業以外の作業に転換させるように勧奨ができることになっています。管理3ロと決定された場合は事業主に対して粉じん以外の作業に転換するよう、作業転換の指示ができます。管理4または管理2管理3で合併症がある労働者は療養しなければなりません。
5.まとめ
今回はじん肺管理区分についてご説明しました。じん肺管理区分が管理2または管理3である方が離職される場合、もしくはすでに離職している場合は都道府県労働局に申請すれば健康管理手帳が交付され、肺がんに関する検査を無料で受けることができます。健康管理手帳についてはこちら
アスベストにさらされる建設業務に従事し、健康被害に遭われた労働者の方やそのご遺族の救済のため、社会保険労務士法人きんかでは積極的に相談に応じておりますので、お気軽にご連絡ください。お問い合わせはこちら