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2022.01.20

コラム

アスベスト作業従事者に対する健康診断

アスベストやアスベストを含む物を製造し、または取り扱う作業に従事する者は、一般健康診断に追加で石綿健康診断、じん肺健康診断の該当する健康診断を受ける必要があります。事業主が実施費用を負担し、行わなければなりません。今回は3種類の健康診断それぞれについてご説明します。

目次
1.一般健康診断
2.石綿健康診断
3.じん肺健康診断
4.まとめ

1.一般健康診断

事業主が各労働者の健康状態を確認し、業務内容・業務量等の配慮が必要かどうかを判断するために行います。すべての労働者が対象で、雇い入れ時および定期健康診断(1年に1回)を受診する必要があります。アスベストを取り扱う労働者は6か月ごとに受診しなければなりません。検査項目は雇い入れ時健康診断、定期健康診断ともに同じ項目で以下の通りです。

【検査項目】
1 既往歴及び業務歴の調査
2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4 胸部エックス線検査
5 血圧の測定
6 血液検査
7 肝機能検査
8 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
9 心電図検査

★定期健康診断は、作業関連疾患(脳・心疾患等)の発症リスクを高める生活習慣や基礎疾患(高血圧・糖尿病・高脂血症)のスクリーニング項目が主体となっています。通常、胸部X線検査は間接撮影で行われます。また腹囲の測定が追加され、LDLコレステロールや尿糖検査も必須項目となっています。

2.石綿健康診断

アスベスト障害を早期に発見するとともに作業配置等の対策を行う場合の判断となる基礎データを得る目的があります。事業主は、現在および過去にアスベストの製材を製造または、取り扱った労働者を対象として6か月ごとに受診させる必要があります。

【検査項目:一次検査】
1 アスベスト業務歴の調査
2 過去や現在におけるアスベストによる自他覚症状の有無
3 胸部X線検査(直接撮影)

★石綿健康診断の結果、他覚症状が認められる者、自覚症状を訴える者、その他の異常の疑いがある者のうち医師が必要と認めた場合にはさらに二次健康診断を受診しなければなりません。

【検査項目:二次検査】
1 作業条件の調査
2 必要時には肺がんや中皮腫の精密検査

★石綿健康診断と健康管理手帳の石綿健康診断は対象者が在職中の労働者か離職者で異なるものの検査項目は同じです。

★事業主は石綿健康診断の結果に基づき、石綿健康診断個人票を作成し30年間保管しなければなりません。さらに事業主は石綿健康診断を行ったときは遅滞なく、石渡健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出しなければいけません。

3.じん肺健康診断

じん肺およびその合併症である肺がんの早期発見が目的です。就業時、定期、定期外、離職時の健康診断があります。粉じん作業従事者が対象で、じん肺管理区分と現在も粉じん作業に従事しているかどうかでじん肺健康診断の受診の必要性や受診期間が異なります。管理区分2・3の方(一定のじん肺所見がある)は1年に1回肺がん検査を受ける必要があります。また、ここでいう粉じん作業には、粉じんを発生させる作業に直接従事している場合のほか、その付近で作業している者も含まれます。

【検査項目:一次検査】
1 粉じん業務歴の調査
2 胸部X線検査(直接撮影)
【検査項目:二次検査】一次検査でじん肺所見が認められた方
1 肺機能検査
2 胸部臨床検査
3 結核精密検査
4 結核以外の合併症の検査

4.まとめ

労働者は、法律に基づいて、事業主が行う健康診断を受診しなければなりません。ただし、他の医師の行う健診を受け、健康診断書を提出することでこれに代えることができます。また事業主は、検診の結果、必要に応じて就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などのほか、作業環境測定、施設設備の設置、その他適切な措置を講じなければなりません。

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アスベストにさらされる建設業務に従事し、健康被害に遭われた労働者の方やそのご遺族の救済のため、社会保険労務士法人きんかでは積極的に相談に応じておりますので、お気軽にご連絡ください。お問い合わせはこちら