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アスベストによる疾病を検査する方法
アスベストによる疾病(厚労省サイト)が疑われる場合はどのような検査でアスベストが関係していると分かるのでしょうか。胸部のレントゲンを撮ればアスベストを吸い込んでいたかどうか分かるものなのでしょうか。分からない場合、どのような検査を経てアスベストによる疾病だと診断されるのでしょうか。今回はアスベストの三大疾病の検査方法について解説いたします。
目次
1.まずはじめに
2.中皮腫の検査方法
3.肺がんの検査方法
4.アスベスト肺の検査方法
5.まとめ
1.まずはじめに
胸部のレントゲンを撮ればアスベストを吸い込んでいた、もしくは吸い込んでいるか分かる。というわけではありません。もちろん、レントゲン写真で分かる場合もありますがそうでないこともあります。どのような検査を経てアスベストによる疾病であると判断できるのでしょうか。
2.中皮腫の検査方法
主な検査方法として4つの検査方法があります。まず、問診、それから画像検査、胸水検査、最後に生検です。問診ではこれまでの職業歴、家族歴などからアスベストにさらされていた可能性があるかどうかを確認します。また、問診に加えて採血も行い全身状態を診察します。次に、画像検査をします。上記で挙げた胸部のレントゲンのほかに、胸部造影CT検査や、PET検査などを用いて胸部の状態とがんの広がりや細胞の動きなどを確認します。次に、胸水検査をします。これは胸水の中の剥がれた細胞を調べて、画院細胞の有無などを確認します。最後に生検です。胸膜にあるがんと疑われる組織の一部を採取して、がん細胞の有無や組織の型などを病理医が詳しく調べます。組織の一部を採取しなければならないので局所麻酔または全身麻酔をして行われます。以上の方法で診断を確定します。
3.肺がんの検査方法
肺がんの検査方法は問診、画像検査、生検が主です。特に肺がんの場合、がん細胞が痰の中に剥がれ落ちることがあるため、痰を調べてがん細胞を検出します。3日間、できる限り起床時の早朝に採取した痰を検査します。痰を採取するだけの簡単な検査ですが、肺がんにかかっていても痰の中にがんが発見されないこともあります。
4.アスベスト肺の検査方法
アスベスト肺の検査方法は問診、画像検査が主です。アスベスト肺の場合、一般に肺機能が異常となり、医師が聴診器で肺の音を聞くと通常は断続性ラ音*と呼ばれる異常な音が聞こえます。アスベストへの曝露歴がある人ではレントゲンやCT検査、生検などを行います。
断続性ラ音*=別名湿性ラ音。呼吸運動に伴って生じる異常呼吸音をラ音(ラッセル音)と呼ぶ。肺や気道から発生し、ブツブツとした水泡音やパチパチとした捻髪音を断続性ラ音という。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
アスベストによる疾病にかかっていると胸部のレントゲンだけで判断できる場合もあれば、様々な検査をし、診断がおりる場合もあります。
アスベストの吸入によって発生する病気は、作業現場でアスベストの粉じんと繊維の量をできるかぎり減らすことで予防できます。また、アスベストに接する機会のあった喫煙者は、禁煙することで肺がんのリスクを軽減させることができますが、年に1回はレントゲン検査を受ける必要があります。
さらに、アスベストを取り扱ってきた労働者には比較的かかりやすい感染症があることが分かっているため、そのような感染症から体を守るために肺炎球菌とインフルエンザの予防接種が勧められています。
アスベストにさらされる建設業務に従事し、健康被害に遭われた労働者の方やそのご遺族の救済のため、社会保険労務士法人きんかでは積極的に相談に応じておりますのでお気軽にご連絡ください。お問い合わせはこちら