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2022.02.28

コラム

アスベストにばく露される可能性がある作業とは?

アスベストにばく露される可能性がある作業とは?

アスベストを吸引してしまう機会は仕事中が最も多いとされています。今回はアスベストにばく露される可能性がある作業、また、過去どのような思いがけないアスベストばく露があったのかを解説していきます。

  1.  アスベストばく露の種類
  2.  職業性アスベストばく露について
  3.  近隣ばく露について
  4.  まとめ

1.アスベストばく露の種類

アスベストばく露にも様々な種類があります。冒頭で少しお話したように仕事中にアスベストばく露を受ける職業性ばく露。アスベストを取り扱う工場で働く家族の作業委を洗濯したり、空になった石綿袋を家に持ち帰って子供がそれで遊んだりすることによってアスベストばく露を受ける傍職業性家庭内ばく露。家で石綿含有シートを切断したり、石綿入りのパウダーを壁に塗ったりする作業を自宅などで行うDIYによってアスベストばく露を受ける傍職業性ばく露。そして、アスベスト鉱山及びアスベスト工場の近くに住む人々がアスベストばく露を受ける近隣ばく露。最後に、上記以外の特定できない環境ばく露など様々な種類があります。

2.職業性アスベストばく露について

職業ばく露は直接的職業ばく露と間接的職業ばく露に分類されます。

直接的ばく露とは、アスベスト鉱山、アスベスト紡績・紡織工場、アスベストセメント工場、アスベスト断熱材製造工場などで直接アスベストやアスベストを含有する製品を製造・取り扱うことによるばく露です。また、間接的ばく露とは、直接アスベストを取り扱うことはありませんが、アスベストを取り扱う現場で作業をすることによってアスベストばく露を受けることです。たとえば、車両や船のアスベスト吹き付け作業が間接的ばく露にあたります。

3.近隣ばく露について

アスベストに直接関わっていなくとも、工場の近くで日常を送っていた人がアスベスト関連疾患を発症してしまうことを近隣ばく露といいます。実際にアスベスト工場の付近で働いていたり付近に住んでいたりしていた人がアスベスト関連疾患を発症し裁判で工場側の損害賠償責任を認めた事例があります。(大阪高等裁判所 判事2257号31頁)この判決では、被告となった工場付近に居住する住民の人数とそのうち中皮腫に罹患した人数との比較などがなされた学術的調査報告を基に工場から飛散したアスベストと一定の距離の範囲内の住民に対するアスベスト関連疾患の発症との因果関係を認定しました。ただし、この判決では一定の距離の範囲外の住民に対するアスベスト関連疾患の発症との因果関係は証拠が足りないとして認められませんでした。また、近隣ばく露を防ぐための法規制などを施工していなかった国に対しても損害賠償責任が問われましたが、アスベストの使用を認めていた当時はアスベスト自体の危険を認識するだけの情報が集積されていなかったことなどを理由に認められませんでした。

4.まとめ

アスベストの作業に従事していた人だけでなく、その人の家族、更にはアスベストの工場で日々の生活を送っていた人もアスベストの健康被害に遭っています。前述での判例では国の責任は認められませんでしたが、令和3年5月17日の最高裁判決で国敗訴の判決が言い渡されました。(建設アスベスト訴訟に係るこれまでの経緯)これから顕著になると言われているアスベストの健康被害。被害に遭われた方に対する制度が少しずつ整ってきています。(アスベスト訴訟について)補償制度の周知やこれからの法整備に期待していきたいところです。

アスベストにさらされる建設業務に従事し、健康被害に遭われた労働者の方やそのご遺族の救済のため、社会保険労務士法人きんかでは積極的に相談に応じておりますのでお気軽にご連絡ください。お問い合わせはこちら