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アスベスト(石綿)とはどのようなものか
少し前までは「奇跡の鉱物」と言われていたアスベストが、今では「ミクロンサイズの静かな時限爆弾」と言われています。今回は、アスベストとはどのようなものかについて詳しくご説明します。
【目次】
1.アスベストと呼ばれる由来
2.アスベストの定義
◎鉱物学上の定義
◎工業上の定義
◎WHOの示す定義
◎日本におけるアスベストの定義
3.アスベストの種類
◎蛇紋石グループ クリソタイル
◎角閃石グループ クロシドライト アモサイト
4.まとめ
1.アスベストと呼ばれる由来
アスベストとは古代メソポタミアから知られ、その語源はギリシャ語の「消滅せざるもの」を意味する「asbestos」です。火にふれても燃えない(変化しない)ことに由来しています。また、石でありながら軽い綿状の性質を持つことから石綿(いしわた、せきめん)とも呼ばれています。
2.アスベストの定義
◎鉱物学上の定義
アスベストは固有の鉱物の名ではなく、天然に産する鉱物のうちで、高い抗張力(引っ張り強さ)と柔軟性をもつ繊維状鉱物の集合をなすものの俗称です。
◎工業上の定義
繊維状の集合した鉱物を採掘、加工して得た工業原料のことを指します。また、現在通称でアスベストといえば全世界の産業用アスベスト製品の9割以上を占めているクリソタイルを指します。
◎WHOの示す定義
一部の国や地域ではいつくか別の鉱物もアスベストと呼んで利用してきたことが分かっていますが、WHOやILOおよび各国の公的機関はアスベストを下記でご説明する6種類に限定しています。また、その中で長さが0.005㎜以上、幅が0.003㎜以下で長さと幅の比が3対1以上の繊維状のものをアスベストと定義しています。
◎日本におけるアスベストの定義
労働安全衛生法などで特にアスベストの定義はされていませんが、WHOによって定義されたものと同様の繊維状鉱物を指しています。
3.アスベストの種類
アスベストの種類は、まず蛇紋石(じゃもんせき)グループと角閃石(かくせんせき)グループに分けられます。その中でもアスベストと呼ばれる蛇紋石はクリソタイル(白石綿)1種類のみで、今まで世界で使われてきたアスベストの9割以上がこのクリソタイルです。角閃石にはクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト(直閃石)、トレモライト(透角閃石)、アクチノライト(緑閃石)の5種類があります。実際に大量に使用されてきたのはクリソタイル、アモサイトとクロシドライトです。これら3種類について詳しくご説明します。
◎蛇紋石グループ クリソタイル
カンラン岩(火成岩の一種)が変成して、蛇紋石化する(地下もしくは地表付近で天水や海水と反応すること)とき生じた岩体の割れ目に、霜柱のように繊維軸が垂直に交わる状態で結晶化します。クリソタイルの柔軟性や優れた断熱性および絶縁性は、木の年輪のような層状の壁に囲まれた中空の管状構造(ストローのような構造)によってできています。この特徴的な構造は、未だ人造繊維では製造されていません。
◎角閃石グループ クロシドライト、アモサイト
クロシドライトはリーベック閃石の、アモサイトはグリュネル閃石の繊維状変種です。縞状鉄鉱層の中に母体の縞状構造と平行に互層をなして産出されました。アモサイトは褐色や灰色です。クロシドライトは針状に尖った繊維で、含有する酸化鉄のために青い色をしています。最も毒性が強く、発がん性はクリソタイルの500倍、アモサイトの100倍と言われています。
4.まとめ
今回はアスベストの定義や種類についてご説明しました。以前は建造物から日用品に至るまで当たり前のように使用されてきたアスベストですが、さまざまな健康被害が明らかになり現在では製造、輸入、使用、譲渡が禁止されるに至っています。アスベストに起因する疾病はこちら
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