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2022.03.24

コラム

建設アスベスト訴訟について

アスベストの有害性・危険性については複数のコラムで解説しましたが、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」の制度、また建設アスベスト給付金の制度が成立するまでにどのような流れがあったのでしょう。このコラムでは制度誕生のきっかけとなった建設アスベスト訴訟について解説していきます。

1.建設アスベスト訴訟とは?

2.その後の動き

3.まとめ

1.建設アスベスト訴訟とは?

建設アスベスト訴訟とは、建設作業の労働者や一人親方が現場にアスベスト作業に従事した際、アスベストを含む建材から発生したアスベストの粉じんにばく露し、アスベスト関連疾患に罹患又はアスベスト関連疾患によって亡くなった損害について国や建材メーカーに対して損害賠償金の支払いを求めた裁判です。アスベストを使用していた頃、建材メーカーはアスベストの有害性を知りながら、その有害性について十分な警告をせずアスベスト含有建材を製造・販売して利益を上げ続け、また、国もアスベストに十分な規制を課していませんでした。その責任を問うために2008年に東京地裁で集団訴訟が提起されたことをきっかけに、横浜、京都、大阪など各地の地方裁判所で同様の提訴がなされるに至りました。

2.その後の動き

令和2年12月14日以降、最高裁判所は国の上告受理申し立て(民事裁判で控訴審判決に不服のあった当事者(このコラム内での当事者は国にあたります)が、最高裁判所などの判例違反やそのほかの法令解釈に関する重要な事項を含む法令違反を理由に上告審として事件を受理するように求めること)を受理しないとの決定を行ったことにより、国の責任を一部認めた高裁判決が確定するとともに、令和3年5月17日の最高裁判決において国敗訴の判決が言い渡されました。この判決を受けて、2021年5月18日に厚生労働大臣と建設アスベスト訴訟原告団及び弁護士団の方々との間で基本合意書が締結され、これを受けて同年6月9日、議員立法により「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立しました。この法律は2022年1月19日から施行され、給付金申請の受付を開始しました。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。アスベストばく露から症状が出るまで、また、それをアスベストと関連付け資料を用意するなど、今回の建設アスベスト給付金が施行されるまでに莫大な年月と金額がかかり、そして様々な思いが込められています。今回国に責任があると認められたのは一部についてですが、アスベスト関連疾患に罹患した方が今後さらに増えていくと推測されています(アスベストが死因と思われる死者の数)ので、十分な補償・救済などの法改正が現在求められています。

アスベストにさらされる業務に従事し、健康被害に遭われた労働者の方やそのご遺族の救済のため、社会保険労務士法人きんかでは積極的に相談に応じておりますので、お気軽にご連絡ください。お問い合わせはこちら